この10原則を頭に入れた上で、新聞や経済誌の記事を読んでみてください。
ほとんどの論理がこの10原則のうちの1つか2つの組み合わせでもっともらしく語られているだけということがわかるはずです。
そういう意味で、経済学の枠組み自体は何もむずかしくありません。
ところが現実の経済は複雑に入り組んでいますし、その裏側に不良債権問題が潜んでいたりします。
そのため、こうした経済理論の基本がそのまま素直に当てはまらなかったりするのです。
実際、この10原則の中にも相反している原則があります。
たとえば、金利の第一原則に基づき、「景気がいい=金利高」とします。
そのとき同時に、物価の第一原則と為替の第一原則が成立しているはずですから、「景気がいい=物価高」と「景気がいい=円高」が成り立つはずです。
さらに、為替の第二原則「高金利=円高」が後押しします。
ところが、この状況は、為替の第三原則「物価安=円高≒物価高=円安」と相反するのです。
結局は、その場その場の力関係について総合判断が求められることになります。
要するに、経済理論が想定している純粋な温室状態よりも、世の中は複雑かつ乱暴なのです。
現実の世の中では、整然とルールに則って金利や株価や物価や為替が一律的に決まるわけではありません。
さまざまな思惑を持った参加者が、そのときの心理状態によって、いろいろな反応を示してきます。
先行きの読みにも違いが存在します。
その結果、マーケットの価格は、そのときそのときで、異なる顔色を見せるのです。
経済理論がウソをついているわけではないのですが、あくまでもその考え方は基本中の基本にすぎないわけです。
たとえて言えば、将棋や囲碁の定跡や定石のようなものなのです。
定跡をマスターしていれば、真剣勝負の混沌の中で頭を整理するのに役立ちます。
しかし、定跡をマスターすれば、勝負に勝てるというわけではない。
将棋のHが定跡を踏まえた上で右脳のひらめきによる素晴らしい手を指すように、定跡だけで勝ち筋を読めるわけではないのです。
その程度にとらえていただきたいと思います。
経済学を駆使して正しい株価をはじき出そうと努力すればするほど、「わたしの理論は間違っていない。
間違っているのはマーケットのほうだ」という発想になりがちです。
そういう発想に囚われてしまうと、逆に、あなたのほうがマーケットからはじき出されることになるでしょう。
大損して叩き出される結果になるに違いありません。
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